豊かになるためには、労働生産性を上げなくてはならない。働き手を増やしたり、勤めを長くしたりすることには、限度があるからだ。そうなると、より多くの生産をしようとするなら、設備投資をして、装備する資本を増やす必要がある。すなわち、労働生産性を上げるということは、設備投資をするということなのだ。その際、できるだけ効果の高い設備投資を選ぶべきは当然だ。焦点は、どうやって設備投資を増やすかである。今回は、ミクロの生産性まで論じている宮川努先生の『生産性とは何か』を参照しつつ、考えてみたい。 ……… 何に設備投資が最も左右されるかというと、経験的には明らかで、需要である。売上が増えると見込めば、設備投資するという平凡な事実だ。ところが、そうなると、生産性の向上が成長を生み出すのか、逆に、成長が生産性の向上をもたらすのか、因果関係が不分明になる。実際には、相互作用があるわけだが、ともすると、革新性があれ
【9月29日 AFP】日米が最終合意した新たな貿易協定について、両国政府は「ウィンウィンの合意」と強調しているが、日本国内の肉牛農家からは、さまざまな問題に苦闘する畜産業界にとどめを刺す結果にな... crcus これはつまり、米国産牛肉と競合するような品質でしかなく、それでいて圧倒的に高い牛肉を買わざるを得なかった消費者のこれまでの損失の大きさがいかほどだったかってことだな。
日本の財政は大丈夫なのか。債務残高は1000兆円を超え、GDPに対する債務残高比は200%を超える。今回の衆院選でも大きな争点の一つとして消費税の使途変更が挙げられ、もし増税分が教育無償化に割り当てられれば、2020年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化するという目標は実現不可能になる。 これから結婚・子育てを考えている20代30代にとって、教育費の無償化という政策は魅力的だが、財政再建を後回しにしてもいいのか、そもそもこのままで日本の財政は大丈夫なのか、という不安も募っている。 日本の財政の現状や今後の社会保障など、若い世代が漠然と抱える5つの不安について、立場の異なる2人の専門家、第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストと中央大学法科大学院の森信茂樹教授に話を聞いた。 今、若い世代ほど漠然とした将来不安を抱え、消費よりも貯蓄に回す傾向が強まっている。 30歳未満の単身
窮鼠猫を噛む。野田総理も追い詰められたら、戦中の大日本帝国みたいに特攻隊突撃か。エコノミストが言うように(参照)、つまり、英語でいうところのカミカゼ(kamikaze)をやってしまった(参照)。 kam‧i‧ka‧ze [only before noun] 1 kamikaze pilot: a pilot who deliberately crashes his plane on enemy camps, ships etc knowing he will be killed 2 used to describe someone who is willing to take risks, without caring about their safety: kamikaze lorry drivers カミカゼ 1 カミカゼ飛行士:自殺になることを知りながら、敵陣や敵艦に入念に自分の飛行
2012年5月8日から消費増税関連法案の国会審議が始まりました。これにちなみ、2年前の参議院選で当時の菅直人首相がマニフェストにはない消費税増税を掲げて以降の消費税に対する世論調査の結果を図1にまとめてみました。 図1 消費税増税に対する世論調査結果の推移 2010年6月、2011年3月、2012年1月が読売調査、2010年7月が時事、 2011年7月がJNN、2011年11月が日経、2012年3月が産経調査。 読売新聞の世論調査では、消費税増税に寛容な意見の比率が高いことが知られていますが、その読売でも最近は消費税反対が賛成を上回るようになって来ました。 消費税を増やせば将来の年金が安定する、という説をマスコミが流し、それを見た視聴者が消費税増税を渋々受容する、という形が崩れてきています。 読売新聞など財務省の手が入ったマスコミ*1 が盛んに増税キャンペーンを流しても、ネット情報などで増
なんじゃ、こりゃの社説。 日本銀行が、金融政策の目指すべき物価安定の「目標」を明示した。デフレ脱却の姿勢を明確化するため、10兆円の追加緩和にも踏み込んだ。 中央銀行があらかじめ物価上昇率の数値目標を掲げ、政策を駆使して実現する義務を負うのが「インフレ目標政策」だ。達成できなかったら、説明責任を問われる。 日銀はこの土俵に乗ると、政策の機動性を損なうとして、これまでは分かりにくい「物価安定の理解」という形で目安を示してきた。足元では「消費者物価が2%以下のプラスで、中心が1%」だった。 これを「物価安定の目途(もくと)」と言い換えた。内容は「2%以下のプラスで、目途が1%」と大差はない。しかし、政府・与野党では「1%のインフレ目標」と見なす空気がある。 1%だと誤差範囲なのでインタゲにもなっていないし、そもそも日銀の姿勢はなんも変わっていない。 米連邦準備制度理事会(FRB)は先月、物価上
昨日の「死に至る病」は、いかがだったかな。簡単なモデルではあるが、経済や財政のスタビライザーとして、利子課税と法人税が意外なほど重要な役割を持つことが理解できると思う。これに着目すれば、次世代の経済運営の技法がどのようなものになるかを予想することも可能だろう。 スタビライザーが有効なのは、国債消化が国内である場合に限られる。課税である以上、外国人に徴税権力は及ばないからだ。その意味で、欧州危機の対応策として、そのまま使うことはできない。ただし、国際協調ができれば別である。例えば、ドイツやフランスの金融資産に課税して、ギリシャの救済資金にするというスキームだ。 ギリシャの危機は、バブル的な好況のときに、独仏の銀行が貸し込んだ側面がある。それで儲けたわけだし、貸した金で輸入もしてもらった恩恵もあった。ギリシャ危機の処理は、独仏の銀行を守り、預金を保護する意味もある。ならば、金融資産の利子を財源
内閣府の「経済社会構造に関する有識者会議」というところから、「経済成長と財政健全化に関する研究報告書」という、何とも覚えにくい名称の報告書が出された。内容は、要するに、「成長しても、財政は改善されないので、消費税増税しかない」という趣旨のものだ。世論をそこへ持っていこうとする、情報操作のための政治的文書である。 報告書をまとめた座長の岩田一政先生は、学識も豊かだし、人当たりも柔らかで、そんなことをする「悪人」とは思えないのだが、どうやって、財政当局は、こういう文書を作ったのか。情報操作の、なかなかのテクニックが使われているので、それを読み取るだけで、とても勉強になると思う。インテリジェンスに興味がある人にとってはね。 その秘密は、報告書ポイントの「はじめに」にある。成長すれば、どの程度の税収増が見込めるかは、経済的にも、政治的にも非常に関心を集める問題だ。その推計方法には様々な手法があるの
今日の経済教室のタイトルは「増税と併せ量的緩和を」なのだが、本文の内容とズレがあるように感じられる。こういうことが時々あるのは、タイトルやポイントは編集の方で付けているためだろうか。編集の志向性が滲んでいるように思える。 筆者なりに、本多祐三先生の論旨をまとめると、復興増税などの財政面からの負のショックをできるだけ小さくしつつ、復興需要の表れに際し、金融緩和をすることで、デフレ脱却を図ろうとするものであろう。タイトルから受ける、「増税しても量的緩和をすれば良い」という印象とは異なるものだ。 本多先生の論旨には、筆者も賛成である。筆者の場合、量的緩和の景気浮揚の効果は限定的だと考えているが、程度の差に過ぎない。仮に、復興需要が出てきて、長期金利が上昇し始めたときに、量的緩和によって抑制をするなら、それは景気回復を促進し、デフレ脱却にも効果があろう。問題は、本当に復興需要が出てくるかである。
【要約】 ・日本国債の置かれた状況はギリシャ国債とは大きく異なっています。 ・日本国債について考えるにはその保有者割合を調べることも有用です。 ・米国国債と日本国債の保有者の違いを見ると、今後日本がとるべき道が見えてきます。 前回のエントリーで、EUの中のギリシャには「国際金融のトリレンマ」の問題があることから、ギリシャ国債が危ないことを論拠に日本国債が危ない、という説は議論が粗いということを書きました。*1 では肝心の日本国債は危ないのか。 今回はこの点について考えてみましょう。 現段階で、日本の政府債務残高は、国と地方合わせて1,100兆円を超えるとされています。*2 このうちの大半を国債が占めています。 国債残高推移は右図のようになっています。2005年から2008年までの比較的好景気だった頃は国債残高の伸びが一時止まりましたが、それ以前もそれ以降も国債残高は増え続けています。ここで
政府は24日、円高対応緊急パッケージを発表した。外為資金を活用して1000億ドル規模の「円高対応緊急ファシリティ」を創設するとともに、外国為替および外国貿易法に基づき、為替トレーダーが保有する外国為替持ち高の報告を主要金融機関に求める。 民主党の岡田克也幹事長も円高を受けた経済対策を実施する方針を打ち出している。3次補正を待たずに予備費を使って前倒しするといい、その内容は「中小企業への低利融資」や「省エネ企業への補助金」といったものだ。 果たしてこれらが円高対策といえるのか。本来政府・与党がやるべきことは何か。 まず、これらの対策は根本的な円高対策ではない。このコラムで繰り返して主張してきたように、円ドルレートは円通貨ストックとドル通貨ストックの比でほぼ決まる。そうである以上、円通貨ストックを増やす金融緩和しか円高対策として日本政府がとるべき有効な対策はない。 1000億ドルのファ
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 1923年9月1日。日本史上最悪の被害をもたらした、関東大震災が発生した。東京都、神奈川県を中心に、死者・行方不明者は10万人を超え、首都の金融システムも麻痺状態に陥った。金融システムが機能しなくなってしまったため、決済などが不可能になり、日本経済全体も大混乱に陥ってしまったのである。 震災発生の翌日(9月2日)に山本権兵衛内閣の内務大臣に就任した後藤新平は、その日の深夜には「帝都復興」のための復興根本策を起案した。後藤新平が帝都復興のために用意しようとした予算は40億円(「関東大震災発生後における政策的対応」国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 709[2011.4.28.]より。以下同)。当時の一般会計予算(約15億円)の
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 1923年9月1日。日本史上最悪の被害をもたらした、関東大震災が発生した。東京都、神奈川県を中心に、死者・行方不明者は10万人を超え、首都の金融システムも麻痺状態に陥った。金融システムが機能しなくなってしまったため、決済などが不可能になり、日本経済全体も大混乱に陥ってしまったのである。 震災発生の翌日(9月2日)に山本権兵衛内閣の内務大臣に就任した後藤新平は、その日の深夜には「帝都復興」のための復興根本策を起案した。後藤新平が帝都復興のために用意しようとした予算は40億円(「関東大震災発生後における政策的対応」国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 709[2011.4.28.]より。以下同)。当時の一般会計予算(約15億円)の
テレビや新聞の報道で、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の被災地の窮状が伝えられている。水や食料、燃料が十分に行きわたらず、東北の厳しい寒さの中で暖を取ることもできないという過酷な状況が続いている。 そうした状況を見て、多くの個人や企業、組織が「現地に生活物資を送り届けたい」と考えている。しかし、送り届ける手段がない。なぜ、被災者のもとに物資が届けられないのか。 みんなの党・代表の渡辺喜美氏が仙台市宮城野区の避難所に出向き、支援物資を提供するなどのお見舞いをしてきたという。 被災地から戻った渡辺氏に、早急に実施すべき被災地の救援対策を聞いた。一般的な報道では伝えられない、危機管理の落とし穴とは何か。(JBpress) 東北自動車道はガラガラだった!? ── 現地はどのような状況でしたか。 渡辺氏(以下、敬称略) 地震の発生から72時間が過ぎ、人命救助を最優先とする段階から、被災者の救済が
Twitterで書いたものを掲載。 谷垣自民総裁が「臨時」増税を民主党と協議しているという。 【東日本大震災】臨時増税を協議へ、自民の谷垣総裁が明らかに - MSN産経ニュース http://htn.to/JKsYGt 財務省とその手先(谷垣、藤井、与謝野)は本当にひどいなあ。「臨時」増税とは。まさに国民的な悲惨事にまぎれての増税路線の採用。「臨時」とはいいながら後には「財源が足りない」などと詭弁をろうして恒久化するにきまってるよ。しかしひどいペテンだ。 民主党が「予算案を通して補正くませてほしい」というのは政治的な思惑からも提起するのはわかってたが、谷垣自民がそれをすんなりのんだのがどうも胡散臭いとにらんでたが、こういう背景があるわけだ。まさに財務省増税派の走狗だね。「臨時」増税とはいやはや、おそれいる厚顔無恥。 復興のための資金調達は、数年間もかかるだろうその時間と規模からも、長期国債
テレビ映像でみても、今回の震災は、人類史上の記憶に残る中でも最も悲惨なものになるかもしれない。 現地の情勢が把握できないため、被災された方の数字は確認された数字のみが公表されているが、事態はそのようなレベルを越えていることが映像から理解できる。 行政機関の末端は壊滅しているところがある。行政機関は電話が不通になれば機能しない。伝統的な手法で、救済と復興ができるレベルをはるかに越えている。 とりわけ、行政が壊滅している地域では、救済においても、復興においても、「非伝統的手法」をとることを躊躇すべきではない。 行政が壊滅している地域では、完結した指揮命令系統を持つ自衛隊が全ての被災者によりそい、どこで誰が生存していて、どのような物資が必要なのかをきめ細かく掌握し、対策を講ずべきである。 指揮命令系統を確立しなければ、最も困難な状況のところで海外からの救援隊の善意を生かすことができない。 そして
アゴラで藤沢数希氏が「為替介入で円高を阻止しろと簡単にいうけれど」という記事を書いている。 さて100兆円もアメリカ国債やユーロなんか買って、それらはドル安、ユーロ安で日本円に対して暴落しているのだから、何が起こったかというと、つまり、30兆円ほどぶっ飛ばしてしまったのだ。国民のお金を。30兆円といえば1年分の税収に匹敵するほどの金額だ。日本国政府は為替証拠金取引は投機的だということでFX業者のレバレッジに規制をかけようとしているが、財務省のやるFXトレードは全てが国債の発行、つまり国の借金でやるのでレバレッジは無限大だ。その巨大なFXのポジションで30兆円もやられて、個人投資家のレバレッジはけしからんといっているのはなんとも趣深い話だ。ちなみにFXというのはゼロサム・ゲームなので、この30兆円はヘッジファンドなどの利益になったのだけれど。 30兆円というのはまさに含み損であり、損失が確定
今まで量的緩和時には自己資本制約や不良債権、貸し渋り、ゼロ金利制約のためにポートフォリオリバランス効果はほとんど働かず、量的緩和の効果はほとんどなかったと言われてきた。 田中隆之氏の「失われた十五年」と金融政策(日本経済出版社,2008)では量的緩和の効果について否定的であり、 では、なぜ市中銀行はリスクフリーである国債を買わないのだろうか。「貸し渋り」説が正しいにせよ、資金需要不足説が正しいにせよ、市中銀行がネットで国債の買い入れを増やせば、これを売った企業なり家計の預金が増えることにより、やはりマネーサプライは増加するはずだ。 と書いている。 今回のリーマンショックではほとんど邦銀のバランスシートは直接は傷ついていない。 では今回はポートフォリオリバランス効果は働いたのだろうか 長期金利とM3の動きをみるとリーマンショック以降、長期金利の低下に伴ない、マネーサプライも増加していることが
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