[Simon Wren-Lewis, “The Interest Rate Lower Bound Trap and the ideas that keep us there,” Mainly Macro, February 2, 2019] 日本では,中央銀行が設定する短期金利が1990年代中盤からゼロ近傍にとどまっている.イギリスでこれに相当する短期金利も,2009年からゼロ近傍にある.ユーロ圏では,2014年からだ [1].べつに意図してこういう状況になっているわけではない.そして,アメリカでは短期金利がゼロより上にあるため,アメリカ中心のマクロ経済学業界ではしかるべき関心がこの状況に払われていない. グローバル金融危機以後に金利がゼロ下限にぶつかっていることは誰もが知っている.だが,マクロ経済理論はかなりはっきりしている.政府はいつでも――とにかくいつでも――お金を使ってこうした罠