正体不明の「暗黒物質(ダークマター)」を仮定せずに宇宙の重力の謎を説明できるとされる「修正ニュートン力学」は興味深い仮説ですが、あまり多くの支持を受けてはいません。特に、恒星や銀河程度のスケールと比べて距離が短い太陽系程度のスケールにおける修正ニュートン力学の効果は、これまでに説明されたことがありませんでした。 ハミルトン大学のKatherine Brown氏とケース・ウェスタン・リザーブ大学のHarsh Mathur氏の研究チームは、修正ニュートン力学の下で太陽系外縁天体の公転軌道のシミュレーションを行った結果、軌道に偏りが生じたことを明らかにしました。これは、短い距離における修正ニュートン力学の効果を示した初めての事例であるとともに、太陽系外縁部に未知の惑星があるとする「プラネット・ナイン」仮説を否定するものです。 ただし、結果の前提となるデータ量の限界から、この結果が偶然生じたもので