■前編はこちらから イランでは、イスラームを国教としている。そのため、当然ながら国民全員が信仰深いムスリム(イスラム教徒)と思われがちだが、そんなことはない。信仰の深さは、人によって驚くほどバラバラだ。 例えば、イスラーム・シーア派にとって、メッカに次ぐともいわれる聖地”マシュハド”。この街の中心には、宗教施設の複合体、ハラメ・モタッハル広場(ハラメ)があり、イラン国内はもとより、国外からも信者が集う。イランではもっとも宗教的な場所で、当然ながら、信仰心の深い人が多い。 彼らの一番のお目当ては、ムハンマドの後継者のひとり、エマーム・レザーの聖墓。エマーム・レザーとは、816年にシーア派を弾圧していたアッバース朝のカリフ・マアムーン(スンナ派)が突然、彼を後継者に任命。バクダッドの反対派の鎮定に向かい、その途上で亡くなった人物なのだそうだが、正直なところ、日本人にはさっぱり馴染みがない。