【井上未雪】ヤギによる除草が広がっている。人が入りにくい急斜面でも動き回って草をはむ。燃料いらずで安上がり。自治体で使われ、貸し出されるケースも出てきた。そんなヤギの姿が与える「癒やし」を指摘する専門家もいる。 愛知県豊根村の宿泊施設「休暇村茶臼山高原」。今月下旬に訪れると、草むらで親子のヤギが草をせっせと食べていた。この夏、人間の腰の丈まである草も食べ尽くし、3頭が動き回る約200平方メートルはきれいに除草されたという。 豊根村は耕作放棄地の除草に使おうとヤギ5頭を飼うが、昨年7月から無料で貸し出しも始めた。いまは全頭が茶臼山の休暇村とスキー場で活躍。休暇村では年間の除草費5万~10万円が浮いた。ヤギを借りる4~11月は草が餌代わりだ。 研究者や飼育者でつくる「全国山羊(やぎ)ネットワーク」事務局長の中西良孝・鹿児島大農学部教授によると、ヤギは長く「日陰者」だった。ピーク時の1957年に