ランペドゥーサの『山猫』を読みました。ヴィスコンティの映画の原作ということですが、映画は観てません。 主人公は、19世紀中ごろの祖国統一戦争に揺れるシチリアの公爵、ドン・ファブリーツィオ。 時代の波に翻弄される貴族の静かな没落を描いた小説……というと、この間読んだ『回想のブライズヘッド』みたいだけど、あちらはイギリス貴族で今回はシチリア貴族。シチリアといったら…シチリア・マフィア…なんか怖そうだな…という単純な連想を裏切らないような、まず日本やイギリスではお目にかからない感じの気性の激しい人々がたくさん登場します!イイネ! ストーリーもせつなくていいのですが、ちょっとした文章からも旺盛なサービス精神を感じて、ページをめくるたびに楽しいのです。面白かった部分をいくつか抜粋して紹介。 彼は肥満しているのではなかった。ただ無闇と馬鹿でかく、たいへんな力の持ち主だった。並みの人間が住むような家では