安倍晋三首相が戦後70年談話で「次の世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と述べたことが論議を呼んでいる。第2次世界大戦当時の強制労働被害の補償に当たるドイツ「記憶・責任・未来」財団理事会の専門職員(アドバイザー)で、最近来日したウタ・ゲルラントさんは、本紙に対し「歴史の責任は次の世代にもあるというのが、ドイツの姿勢だ」と述べ、若い世代が過去を直視する重要性を語った。 (編集委員・五味洋治) 市民団体の招きで滞在していた東京で、談話の内容を知ったゲルラントさんは「歴史問題を終わらせようという人は同じ敗戦国であるドイツにもいるが、主流ではない」と説明。さらに「過去は、現在、未来についてくるものだ。それをはねのけることはできない。過去は一種の毒となって現代に影響を与えてしまう。過去の毒を抜くという感覚で考えないといけない。そうでないと現在も、未来も駄目になる」と、歴史に対する基本的姿勢