クエンティン・タランティーノ監督の『ジャンゴ 繋がれざる者』は、アメリカで奴隷制がはびこっていた時代、黒人奴隷だったジャンゴが、南部の豪農の屋敷で奴隷として働かされている妻を助け出そうと身分を偽り、ビジネス相手として屋敷に入り込むという物語だ。奴隷制を支持する南部の保守的な人々は、もちろん黒人であるジャンゴに強い差別意識を持っているが、対面上は賓客として扱い、豪華な食事をふるまう。外からやって来る客を精一杯「おもてなし」する南部のしきたりを、アメリカの南部人たちは「サザン・ホスピタリティ」と呼び、美徳としている。 しかしこの映画の南部人たちは、言葉の端々や態度からにじみ出る、よそ者や異なる人種に対しての差別意識を隠しきれない。彼らは客が不快な気分になるかどうかよりも、「おもてなし」をしている自分たちのことを「優しく寛大で優れた人間」だと示したいだけなのだ。『ジャンゴ 繋がれざる者』は、自分
![“差別”というシリアスな題材をポップに表現ーー『ゲット・アウト』が描く普遍的な恐怖](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b1dadeb00391bb77deba338f86bbd1fe7278ed98/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Frealsound.jp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2017%2F11%2F20171105-getout-main.jpeg)