この夏。僕はどうやら幽体離脱とやらをしていたらしい(ツイッターではたびたび報告していた)。どうやら、とやら、らしい、と曖昧で不確定な言葉が並んでいるのは、僕の体験したものが「正式」な幽体離脱に該当するのかわからないからであり、当の本人である僕に離脱った実感がないからである。もしかすると僕が幽体離脱と呼んでいる事象は、幽体離脱のプロからみれば、まったく異なるものかもしれない。きっかけは実家に住む母からの電話である。母は深夜2時過ぎ、トイレに行く際、実家のリビングにあるテレビの前に座ってボーッとしている僕の影を見たというのだ。神仏に誓っていい。ありえない。確信をもっていえる。女房が寝静まった深夜2時の僕は例外なく大人向けの動画を視聴するお楽しみの時間を過ごしているからである。母は、母性で「ああ、死んでしまったのだな」と直感したらしい。息子が死んだ。母は人生で1、2を争うような重大な事実に直面し