2024年の夏はアニメーション映画が続々公開され、何を観るか迷うアニメファン、映画ファンも少なくないはず。そんな充実したラインナップのなかで、『化け猫あんずちゃん』は、いわゆる「夏アニメ」として満足感を与える内容でありながら、ひときわ異彩を放つ、興味深い存在となった。 それもそのはず。本作『化け猫あんずちゃん』は、驚くような制作体制かつ画期的な手法が駆使された、他では類を見ない一作だったのだ。ここでは、そんな作品の内容に迫りながら、さまざまな課題が存在するアニメ界の現状のなかで、本作がいま生み出されたことの意義を考えていきたい。 原作となっているのは、「平成のつげ義春」という異名をとる漫画家・いましろたかしが、主戦場である青年誌でなく、児童を対象とした『コミックボンボン』で連載した、異色の同名漫画だ。南伊豆の架空の町・池照(いけてる)町を舞台に、寺に拾われて30年以上生きたことで化け猫にな
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