引き返すと、落ちた橋を見学するためのスペースが設けられていた。そこには“祭畤(まつるべ)被災地展望の丘”と書かれている。衝撃的な見た目のあの橋は、祭畤大橋というらしい。 鉄製の橋桁が直角に折れ曲がり… 展望の丘からは、橋をじっくりと眺めることができた。鉄製の橋桁が直角に折れ曲がり、片方は地面に突き刺さっている。橋桁には錆が浮き、時間の経過を感じさせる。あまりにも現実とかけ離れた光景は、霧が出ていたことと背景が砂防ダムのダム湖であることも相まって、幻想的にさえ思えた。 そもそも、私がなぜこの場所を通りがかったのかというと、“酷道”を求めてドライブしていたからだ。国道と聞くと整備が行き届いたいわゆる“良い道”を想像する方が多いと思うが、なかには落石が転がり、崖下に転落寸前という状態の国道も存在する。そんな状態が酷い国道のことを“酷道”と呼び、前時代的な国道の姿に哀愁や興味を覚える愛好家も少なか