体罰や食事抜きは当たり前、親戚や友人からの手紙は検閲されて届き、テレビやマンガは禁止――単行本の帯にある通り「平成とは思えない」生活に驚きます。 とはいえ、決して悲壮感があるわけではなく、あくまで淡々と思い出をつづっているのが印象的。同年代の子どもたちと寝食をともにし、集団生活を送る様子は、合宿のようで楽しそうでもあります。 だからこそ、時たま出てくる「マインドコントロール」の気配にドキッとします。子どもたちの世話をする「世話係」の逆鱗に触れると、見せしめのように閉じ込められたり、暴力を受けたり。 直接何かを教え込むわけでなくとも、「大人が望む正しいこと」を考え、語るように少しずつ近づけられているようにも見えます。生まれた時から村のルールで生きている高田さんにとっては当たり前に語る日々の中に、小さな「えっそれ大丈夫なの?」が見え隠れするのです。 高田さんは19歳で「村を出る」ことを選びます