マツダ・コスモ・スポーツは,コンパクトなロータリー・エンジン搭載車であることを強調して,低いボンネットラインが採用された。 いまや世界で唯一の「ヴァンケル・エンジン(ロータリー・エンジン)」搭載車をつくるマツダ。そのルーツにコスモ・スポーツがある。1963年の第10回全日本自動車ショウ(のちの東京モーター・ショー),そこにはようやく完成の域に達した2基のエンジンが展示された。 それだけでなく,当時の松田恒次社長がまだ発表前の試作車を自ら運転して登場。耐久性を証明するために,帰路は広島までロングランしてみせて話題を呼んだ。それは翌年の第11回ショーでプロトタイプ展示に結びついている。 考えてみれば,エンジンの基本は100年前と変わりない。いかにエレクトロニクスで制御が緻密になり,経済性や性能が向上したとはいえ,基本的にはピストンの往復運動を利用している。 著者:いのうえ・こーいち 理工系大