大昔、神戸市立乙木小学校将棋クラブ部長だった人間からすると、NumberWebに掲載されていた『藤井聡太はもはやAIを超えたのか? 衝撃の一手「△3一銀」を振り返る』は実に興味深い読み物だった。 なにしろ、藤井七段(当時)が23分間の考慮で指し、敗れた渡辺棋聖が勝敗の分かれ目だったと振り返った一手は、将棋ソフトに4億手を読ませても顔を出さず、6億手読ませると突如最善手にして現れるものだった、というのだ。 恐るべし△3一銀。だが、伝説となったこの一手も、一手早ければ、あるいは一手遅ければ、ただの凡手、もしくは悪手になっていた可能性がある。 森会長は冗談のネタにできると考えた だとすれば、森喜朗会長の女性蔑視ととられかねない発言から始まった一連の騒動は、一手ズレた『3一銀』なのかもしれない。20年6月28日に藤井七段が打った伝説的な一手とはいかないまでも、十分な効果を秘めたはずの一手は、妙手ど