社会に生業が生まれ、家業となり、やがて職業へと移り変わる。 そんな大きな流れを描いた本。 いつの間にか持っていたイメージのいくつもが、本書によってくつがえされた。 印象的だったのは、かつていたという押し売りのこと。 自分は「サザエさん」の中でしかその存在を知らない。 今話題なのは「押し買い」だが、押し売りもその手の「悪徳業者」「詐欺業者」だと思ってきた。 ところが、本書によれば、かつては相互扶助のようなものであったらしい。 自給自足でやっていけない土地で、凶作が起こったりすることで流浪の民が生まれる。 乞食になることをよしとせず、食べ物などをめぐんでもらう形ばかりの対価として、粗末であっても品物を置いていく。 富める者は貧しい者を助けるのが当たり前という発想の贈与=交換だったというのだ。 十分なのかはわからないが、貧しい人の誇りにも配慮した社会のありかたなのではないか、と感じた。 イメージ
![『生きていく民俗 ---生業の推移 (河出文庫)』(宮本常一)の感想(21レビュー) - ブクログ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/954525606ad92df09faa0f8fa02c21b317872142/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51VMPSgOtlL._SL500_.jpg)