竹内結子主演の映画の方は、原作の小説よりもさらに評価が高いらしい。小説本体の評判が気になってネットの中で調べたが、やはり多くは高い評価を与えていた。「本を読んでこんなに涙が出るのは初めて」とか「中盤からぐいぐい引き込まれた」とか「ティッシュが要ります」とか書いてある。まるで小泉内閣の支持率のニュースを聞いている時のような暗澹たる気分になった。文学作品に対する人の感じ方はそれぞれでよい。だが、この作品はこの国における読書の秋のシーズンのベストセラーで、市場において村上春樹の『アフターダーク』に匹敵するか凌駕するほどの大いなる存在なのである。私は政治では自分が少数派であることに慣れもし、諦めて嫌々ながら現実を受け入れようとも思うのだが、この小説に対して世の中の多数がこのような絶賛の評価を連ねているのを目撃して、残念と言うか、無念でやるせなく、うら寂しい気持ちになる。日本人の停頓を思わせられる。
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