「スリー・ビルボード」が公開されました。 トロント映画祭にて観客賞、ゴールデングローブにおいての作品賞のみでなく、脚本賞、主演女優賞、助演男優賞を受賞と監督賞を除き主要部門をほぼ総なめにした本作。本国にてアカデミー賞主要賞の最有力候補として連日報じられており、非常に期待値が高くなっていた作品です。 本作の主要ポイントとして、「たまむすび」及びパンフレット*1にて町山智宏氏が指摘しているとおり、裏テーマとしてあるキャラクターが手にしていた一冊の本――フラナリー・オコナー著『善人はなかなかいない』*2――の名が挙げられています。南部を舞台に、精緻な視点より人間の業、更にはその多くに悲劇的な末路を書いたことで短編の名手とよばれたオコナーですが、確かに本作の描写には彼女の短編に特有の、はみだし者に寄り添いその性質を深く描きながらも、読者を唐突に裏切る予測不能な展開が連続します。 「3枚の看板」とい