イラストを描いて生計を立てはじめてもうすぐ十五年になる。学生の時分から仕事をもらっていて、そのまま職業イラストレーターになった。企業に所属してはいるが、企業側の役割はほぼエージェントであり、中身は自営業者の集まりに近い。所属を経由してできる仕事がなくなれば身の振り方を考える。イラストは今とても安い。趣味で描いたイラストを公開するのも当たり前になり、注文するのではなくそれを買うという流れもできている。職業イラストレーターの市場は縮小していて、わたしのイラストも一時期より安くなった。ディレクションなど仕事の幅を広げても収入は横ばいだ。しかし、辞めるほど悲惨な状況でもない。華やかとはいえないが、まあまあ悪くない職業人生だと思っている。 わたし自身のイラストが安くなったのは残念なことだが、発注者も描き手も多様化したのはとても良いことだと思う。この世にはできるだけたくさんの絵があってほしい。わたしは