私の腕や肩を掴んで乱暴にベッドに押しつけ息を荒くしている男性が、一言声をかけると悪い魔法が解けたように落ち着くのを何度か目撃した。 そういう男性には、追ってお決まりのもう一言をかけてあげると本当によく懐いてくれる。最後には、虚勢を張りたがる高校生みたいなこどもっぽい優しさだけを残して私に抱かれて眠る。 怖がっているんだ。よく知らない場所に放り出された動物みたいだ。警戒し、よく吠え、よく暴れる。 動物は意思疎通がたいへんそうだけど、私が相手をする男性は言葉がわかるので良い。最初の一言、次のもう一言、それだけ伝わればあとは思うままだ。 そうやって私は、自分の自尊心と男性への復讐心を満たしている。 去年の冬頃、自分を好きにさせることで男性への支配欲を満たすことを覚えた。 「女はセックスすると相手の男を好きになる」と恋愛工学徒をはじめとした男たちは言う。残念ながら、それは女に限らない。ある種の男性