10月1日に建国70周年を迎えた中華人民共和国。多くの国境問題を抱える同国ではいま、「正しくない地図」に対する締めつけが強くなっている。 1930年代に作られた、一枚の“謎の中国地図”を手がかりに、中国の抱える“歴史的矛盾”を、譚璐美氏が暴き出す。 中国にとって「正しくない地図」とは? 2019年3月、中国税関は、自国が認めていない国境線が描かれた世界の地図約3万点が入った803箱を押収し、廃棄処分にしたと発表。処分理由は、「台湾や香港を国扱いしている」、「国境線が誤っている」等とした。 このところ、世界の有名ブランドに対する中国の締め付けも厳しさを増している。昨年、米国のアパレル大手「GAPギャップ」が、中国の「不正確な地図」を印刷したTシャツを販売したとして非難され、謝罪したのを皮切りに、今夏にはイタリアの「ヴェルサーチ」、フランスの「ジバンシィ」、米国の「コーチ」と、立て続けに「中国