うつ病の行きつく先は自殺となりかねない。日本の自殺者数は、2010年まで13年連続で年間3万人を超えた。1月初めに発表された11年の速報値も30513人。自殺の原因は、うつ病を含む病気と経済苦が大半を占める。 「自殺の直接原因となるうつ病は全体の3割ぐらいです。ただ、重い抑うつ状態にあったのは全体の8~9割、あるいは5割程度とみる医師もいます。いずれにせよ、うつが自殺に向かわせる大きな要因になっていることは確かです」と、メンタルヘルスの第一人者、渡部卓・ライフバランスマネジメント(LBM)研究所代表は説明する。 心の病は、こじらせてしまうと治りにくく、自殺という危険な因子を内包する。発症者の男女比は1対2で女性が多いが、自殺者は2対1。うつ病はいま働き盛りの中高年男性を強襲している。だが、その現実に関心をもたない企業経営者があまりにも多く、自殺予備軍となる社員を見過ごしている。 厚生労働省