「懲戒解雇する事由はない」――。3月24日の水戸地方裁判所。日本郵便から懲戒解雇された元職員の50代男性が、日本郵便と衣川和秀社長を相手に起こした訴訟に、「解雇無効」の判決が下った。 「解雇無効の判決に安心した。私は一貫して顧客の意向を聞き、丁寧にやってきたのに、不適正募集の調査担当者にまったく聞き入れてもらえなかった。公の判断として、裁判所に主張を受け入れてもらえて嬉しい」。判決直後、男性は弁護士を通じてコメントを発表した。 コメントにある「不適正募集」は、かんぽ生命保険で起きた顧客の不利益につながる契約募集行為を指す。募集を担った日本郵便は、金融庁から処分を受けた。日本郵便は、男性を含めた28人を2020年に懲戒解雇。いずれも、契約者の意向に反して「営業手当や成績がほしい」という自己の都合でのみ保険の契約と解約を繰り返させた、としていた。 ところが、解雇された28人のうち6人が解雇無効