手描きの地図を広げ、ニューギニア戦の体験を語る中野清香さん=長崎県長与町の自宅で2023年5月23日、國枝すみれ撮影 104歳の中野清香(なかの・きよか)さんは「地獄」を知っている。約80年前、そこにいたからだ。 水たまりに頭を突っ込んで倒れている兵士がいた。まだ生きているのに、誰も助け起こさない。 ウジがわく死体の隣で眠っても、死臭が気にならなくなっていた――。 「戦争が終わった時、喜怒哀楽の感情がすっかり抜けていた。今考えると、とても恐ろしい」
世界初の「歯生え薬」の実用化に向けた研究が、日本のチームによって進められている。先天的に永久歯の数が少ない人に対し、薬を投与して歯を生やすことを目指した治験を2024年7月から始め、30年の実用化を目標とする。動物実験の段階だが、この薬を使って乳歯、永久歯に次ぐ「第3の歯」を生やすことにも成功した。歯生え薬は、歯の再生という新たな歯科治療を切り開くのか。 「歯を生やすのは歯医者の夢。大学院生の頃から、ずっとそのテーマに取り組んできた。絶対にできると確信がありました」。研究を主導する北野病院(大阪市北区)の高橋克・歯科口腔(こうくう)外科主任部長は、研究を始めた1990年代をそう振り返る。その決意から30年あまり。まもなく歯生え薬の治験開始という段階にこぎ着けた。 歯の数が生まれつき少ない「先天性無歯症」の人は、人口の約1%いる。特に6本以上の歯の欠損は遺伝が大きく関係している遺伝性とされ、
日本各地で活躍する現金自動受払機(ATM)。設置台数の国内トップは「ゆうちょ銀行」の約3万2000台。2位は大手銀ではなく、何とセブン銀行の約2万6000台だ。躍進の秘密を探ろうとセブン銀のATM開発に最初期から携わってきた松橋正明さん(60)を訪ねると「予想外」の連続だった。 開発者、異色の経歴 「セブン銀のATMの使いやすさには、めちゃくちゃ自信があります。夢中になってお客様のニーズに対応してきましたから」。東京・丸の内にあるセブン銀本社を訪ねると、自慢のATMがずらりと並んでいた。応接室で待ってくれていた松橋さんは喜々として語り始めた。 松橋さんは釧路工業高専(北海道)を卒業後、NECの関連会社に入社。そこに、新たに銀行業界に参入することになった同行からATM開発の話が舞い込んできた。松橋さんにATM開発の経験はなかったが、「セブン―イレブンからは新商品がどんどん出てくる。そんな会社
新型コロナウイルス対策のため各地で学校が休校になった3~5月、NPO法人が運営する妊娠相談窓口「にんしんSOS東京」に10代から寄せられた相談件数が前年の1.8倍に増えたことが判明した。正しい避妊方法を取っていたとみられる人の割合が激減しており、年度末に行われることが多い性教育の授業がなかったことも影響したとみられる。動画配信を通して性に関する知識を伝える取り組みも始まっている。 相談窓口はNPO法人「ピッコラーレ」(東京都豊島区)が運営し、助産師や社会福祉士などの専門職が電話やメールで相談に応じている。 今年3~5月、10代の相談者は213人で、前年同時期の1.8倍だった。相談の大半は「妊娠したかもしれない」といった不安という。ただ、性行為をした人のうち、コンドームを挿入前から装着するなど正しい避妊方法を取っていた人は、前年同時期の51%から32%に激減した。検査薬などで妊娠判定が出てい
埼玉を見事に「ディスっている」と話題になった漫画「翔(と)んで埼玉」が実写で映画化され、22日から全国で上映される。大ヒット作「パタリロ!」(コミックス100巻)で知られる原作者の魔夜峰央さん(65)は「笑って受け入れてくれるのは埼玉だけ。その鷹揚(おうよう)さは日本一」という。【松下英志】 --この漫画を描いたきっかけは? 三十数年前ですから全く記憶にございません。ただ後付けで考えると、東京へ出たいと思って当時の編集長に相談したら、じゃあ所沢にしなさいと。住みやすく西武線沿線は結構、漫画家も住んでいて出版社からのアクセスも良い。行ってみたらすぐそばにその編集長と、もっと怖い編集部長が。監視のためと分かった時は手遅れで、脱出に4年掛かりました。多分そういう鬱憤をどこかで晴らしたかったんじゃないかと。
鉄道のアナウンスは、外国人に伝わっているのか--。日本語教室を運営する企業組合「にほんごの会」が首都圏の鉄道のアナウンスを調べたところ、文章が長かったり敬語が多かったりしてわかりにくいことが浮き彫りになった。災害情報を外国人に伝えるために考えられた「やさしい日本語」を自治体などが取り入れる中、同会は「アナウンスを『やさしく』言い換えることは不可能ではない」と訴えている。【金秀蓮】 調査は2017年11~12月、日本滞在歴が1年以上または日本語学習歴が6カ月以上の外国人21人を対象に実施した。同会が首都圏を走る電車と新幹線の計23路線のホームや車内に流れるアナウンスを、計28時間11分録音。外国人に聞いてもらい、わかりにくい表現を調べた。
情報提供: 炊き上がりのわずかな米の硬さにも敏感にこだわり、どんどん進化しているのが日本の炊飯器。釜も銅、鉄、炭など素材の違いによる美味しさをとことん追求し、日本人の味覚もそれに伴ってレベルアップしているのでは? と思われるほど。しかし、もし日本人がハワイで炊飯器を購入しようとするなら、かなりガッカリしてしまうでしょう。ハワイの炊飯器事情とは、どんなものなのでしょうか? 20~30ドルの低価格&ひと昔前のデザインに仰天! ハワイの家電量販店の炊飯器コーナーをのぞくと、まず価格に驚くはず。安いものなら、なんと20〜30ドルほどで販売されているのです。わずか数千円で炊飯器が買えるなんて、日本人の感覚からすると、かなりの驚き。 そんな数十ドルの値段がついた炊飯器は、鍋に電気コードがつながっただけのようなシンプルなデザインのものが主流です。日本製の炊飯器も販売されていますが、50ドル以下で買える日
情報提供: 生き方にこだわる人、こだわりのある暮らしをしている人。そんな人にスポットをあて、こだわりを貫くために住まう家とはどのような場所なのか、それぞれにとっての「家」の存在を紐解いていきます。 世界中を旅しながら、好きな文章を書いて暮らす。物書きや旅行好きなら誰もが一度は夢見てしまう、そんな生き方を約2年間にわたって実践している女性がいます。 「これからの暮らしを考えるウェブメディア」として2015年に生まれた「灯台もと暮らし」の編集長であり、ライターやフォトグラファーとしても活動する伊佐知美さん。彼女は2016年4月から現在にいたるまで、ライターとして文章を書きながら世界約40カ国100都市と国内を旅し、“家をもたない暮らし”を続けてきました。いまなお、その旅を継続中の彼女ですが、最近になって、東京に「家」という拠点を持つべく物件探しを始めたのだとか。 幼い頃からの夢だった、街から街
冬晴れの東京都心。気持ちがいいから、と並木道をふらり歩く。撮影スポットを探していると、「地べたに座りたいな。あの階段なんて、いいんじゃない?」。街歩きのテレビ番組にも出演している俳優は、自然と風景に溶け込んでいく。 デニムの上着からのぞくTシャツには、<漣>の1字がプリントしてある。「さざなみとも読むんですが、波とは寄せては返すものです。人生も失敗があって少し成長する、その繰り返し。それをお見せするのが、僕らの仕事だと思います」 この芸名を付けたのは20代、東京・赤坂を拠点にしたアンダーグラウンドの小劇団「転形劇場」で舞台に立っていた。役者がせりふを発しない「沈黙劇」を探求し、実験的な作品は欧州など海外でも上演された。
提携する弁護士に一斉に緊急メールが届く「痴漢冤罪ヘルプコール」。ジャパン少額短期保険のホームページから 電車などで痴漢の疑いをかけられた人に迅速に弁護士を派遣し、相談費用も補償する保険サービスの契約件数が急増している。痴漢容疑者が線路に逃げてトラブルが拡大する事例が相次ぐ中、「逃げるよりも、まず弁護士を呼んだ方がいい」との認識が広がっていることが背景にあるとみられる。 このサービスは、ジャパン少額短期保険(東京都千代田区)が2015年9月に始めた「痴漢冤罪(えんざい)ヘルプコール」。交通事故などの際、弁護士への相談費用を補償する年6400円の保険に特典として付く。この特典目当ての加入が大半だという。 契約者が痴漢の疑いをかけられた際、スマートフォンなどを通じて通報すると、提携する全国各地の弁護士に一斉に緊急メールが届く。通報者の位置情報も発信されるため、近くの弁護士が駆けつけたり電話で相談
熊本の慈恵病院「窓口」に 10代が2割近くにも 親が育てられない乳児を受け入れる赤ちゃんポストを設置した熊本市の慈恵病院による「SOS赤ちゃんとお母さんの相談窓口」への電話が、昨年度5466件となり、9年前の10倍以上に達した。10代の相談が2割近くあり、妊娠をめぐり孤立する若い女性の姿が浮かび上がる。元看護部長の田尻由貴子さん(66)は支援の実態をまとめた本を出版、「命と自分の人生を大切に」と訴えている。 病院は2007年、赤ちゃんポストの開設に合わせ、24時間フリーダイヤル(0120・783・449)で相談を受け始めた。13年にテレビドラマ化されたことで知名度が広がり、ウェブサイトなどで「まずは相談を」と呼び掛けていることもあって利用が伸び、相談は累計約1万4700件に及ぶ。最も多いのは「妊娠したかも」「妊娠してしまった」との悩みだ。
「自炊に凝ってるんです。昨日は、フグちりの余りで作ったカレーがおいしくてねえ」=東京都港区で、内藤絵美撮影 動物愛、ふっと消え 今は小説書きたい 濃いコーヒーをすするのを日課にしている東京・南青山のカフェで、衰えの話を始めた。「32歳でがんで胃を切ってから、体力をつけようと馬に乗り始めたんです。50でも60でも野山を走る『山賊馬術』をやってたんですけど、70になったら全力疾走で腰がずきんずきん痛んで、乗れなくなったんです」 8日間一睡もせずマージャンを打ち続けた記録を持ち、海外ロケでも風邪一つひかなかったスタミナだったが、衰えは脳にも来た。「60まで取材ノートを持たなかったんです。相手の名前や電話番号なんか全部覚えてたのに、思い出せなくなり、いかんなあって思ったんです」 この記事は有料記事です。 残り1575文字(全文1860文字)
「忍者の日」をPRしようと、昨年は甲賀市職員が忍者装束で業務=滋賀県甲賀市の甲賀市役所で2015年2月17日、村瀬優子撮影 名乗りを上げよ、忍者の末裔(まつえい)−−。滋賀県甲賀市が市民を対象に、忍者の子孫かどうかを尋ねるアンケートを実施している。創作などで脚色されがちな忍者の真の姿を把握し、観光につなげる狙いだ。2月21日に「甲賀流忍者復活祭」を開き、調査結果を発表する。 甲賀流忍者は、甲賀の農村地域で暮らしていた地侍。1487年、近江守護・六角氏を攻めるため室町幕府の将軍が構えた本陣に奇襲をかけたことで、全国に知られるようになった。この功績を認められ「甲賀武士五十三家」と呼ばれるようになり、その後は全国で情報収集などの任務にあたったとされる…
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