「AV女優になっていなかったら、何をしていたと思いますか?」 この仕事をしていて、とてもよく聞かれる質問だ。 周りの同業の女の子たちはキラキラと輝く目で、アナウンサーとか、お嫁さんとか、看護師さんとか、思い思いに想像したパラレルワールドの自分を語る。 私はと言うと、大したものになっていなかっただろうな、と思うだけだ。強いて言えばフリーターだろう。アルバイトだってろくに続きやしなかったけれど。 いつもより時間と体力のいる内容のAV撮影をしてくたくたになって帰宅した深夜、もう何もしたくない、明日も早起きして続きを撮るなんて信じられない……と打ちひしがれながら玄関のドアを開けると、自動で点くはずの電気が点かなかった。まさかと思いスイッチを入れても、家中どこの電気も点かない。察した通り、ポストには「送電を停止しました」と書かれた紙が入っていて、3ヶ月分の電気料金を払っていなかったことを知る。 公共
![いない熱帯魚|戸田真琴](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/2e28494cafa096a9fbf811550c37d38496506f12/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F21221170%2Frectangle_large_type_2_c59988a94e62cda0e41b002a86ad4245.jpeg%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)