脳をもっていないのに迷路の中に置かれたエサに最短距離でたどり着く、自分にとって害を及ぼす光を避けながら難しい数学の問題を解く…。単細胞生物の「粘菌」はこんな高度な判断を平気でこなします。この粘菌の不思議な能力は完全には解明されていないものの、粘菌の情報処理⇒意思決定のパターンを何かに使えないかと真剣に考える研究者たちがいます。 セールスマンが多くの顧客を訪問する最短ルートを決めようとすると膨大な計算が必要です。いわゆる「組合せの爆発」の問題です。しかし、粘菌は多数あるルートをそれぞれ計算するのではなく、ある程度ラフに、あたかも場当たり的に最適なルートを決めていきます。ですから導き出したルートはベストなものではないかも知れません。ただ、そのスピードが速ければ、正確さと速さの総合点で粘菌の意思決定は優れたものと言えます。このように時間をかけずにある程度の正解を出すことが求められるケースは多々あ