医療の必要性が低いのに、家庭の事情などで長期に病院にとどまる「社会的入院」が多い。 そう指摘されてきた高齢患者向けの介護型療養病床を、厚生労働省は医療や介護の費用を抑制する目的もあって、平成29年度末に全廃する方針を決めていたが、一転して存続に転じた。 高齢化が進み慢性的な病気を抱える人が増えるなど、やむを得ない面はある。とはいえ、社会的入院をなし崩しに認めることになってはならない。 存続にあたり、終末期ケアに重点的に取り組むなど5つの条件を課すとしている。厳格な制度づくりを求めたい。 方針転換の背景として改めて直視すべきなのは、在宅医療・介護の態勢づくりの遅れである。病床の廃止後に介護施設に入所できず、行き場を失う高齢者が続出するとの懸念が広がっていた。