シカやイノシシと共に農作物に深刻な被害を与えるニホンザル。二つの群れが生息する三重県名張市では今年、初の大量捕獲が実施され、県内屈指の頭数がすむ伊賀市では、県が2014年度から最新の情報通信技術(ICT)を用いた大量捕獲を行っている。両市の例を基に、全国有数のサル被害県・三重の取り組みを調べた。【竹内之浩】 ◇「共生」へ科学的管理も ◆住宅街にも出没 約1万人が住む名張市の住宅団地、つつじが丘自治会役員の古川高志さん(74)は昨秋、自宅軒下に干していた柿50個を残らず食べられた。“犯人”は青蓮寺、比奈知ダムの間を移動して暮らす「名張A群」と呼ばれる45頭の群れだ。 15年間、被害対策に取り組む古川さんや市によると、周辺の山や田畑に餌がなくなる冬に頻繁に現れ、物置の野菜や庭の花、屋根瓦の下の虫を食べる。家屋侵入や人への威嚇(いかく)が増え、サルのいた所から物が落ち、住民がけがをしたこ