将棋世界1998年10月号、羽生善治四冠の村山聖九段追悼文「突然の訃報」より。 8月10日、連盟で対局をしていると、昼休みに村山八段が亡くなられた事を知った。 「そんな…」信じられない気持ちだった。 結局、4月に広島で行われた名人戦イベントの時に会ったのが最後になってしまったのだが、その時は楽しそうに検討に加わり、終局まで見ていたので、1年間、ゆっくり休養して来期から再び対局を続けると思っていた。 彼とは10局ちょっと公式戦で戦ったのだが、どれも重要な位置での対局が多く、印象深い将棋が多い。 図はその中の一局で、平成9年2月、竜王戦の将棋から。(便宜上先後逆)この局面で、私は二歩得で、△5八銀の狙いもあり、少し指しやすいのではないかと思っていた。 ところが、ここで予想外の強手を指され、自らの形勢判断が甘かった事を気づかされた。 それは▲3五飛で、△5八銀なら▲同玉△7八飛成▲5五飛、△4四
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