グーグルブック検索反対騒ぎのことを考えていて、91年頃の講演で内記稔夫さんが「貸本業は自滅したのではなく、公立図書館に潰されたのだ」と語っていたのを、思い出した。公立図書館の蔵書は、殆ど町の貸本屋と重複するものであった為、顧客を奪われ、貸本業は一気に衰退したらしい。貸本業者の組合で「民業圧迫だろう?!」と詰め寄ったが、一切相手にされず、あろうことか転業を薦めらる始末だったそうだ。 五十年前に貸本業を壊滅に追い込んだ「図書館」というシステムが、高速スキャニングやweb等の技術を従えてグローバリズムに後押され無尽蔵に巨大化し、自堕落に弛緩した出版業界へ膺懲の鉄槌を下そうとしている。 貸本業末期の話をしている資料がないかと思って、webを見渡したら、ちょっと面白いインタビューに行き当たった。 ―昔のマンガの良い部分を今に伝えるにはどうすればよろしいでしょうか? 内記稔夫:『過剰自粛について考える