【連載】松本俊彦「身近な薬物のはなし」(6) はじめに 歴史学者川北稔の著書『砂糖の世界史』1の第5章扉絵には、17世紀に書かれた1枚の絵が挿入されています。その絵には、コーヒーカップを手にしたアラビア人、茶のカップを手にした中国人、そして、チョコレートのカップを手にしたアステカ人という3人の姿が描かれています(図1)。当時にヨーロッパで広まった3種類の飲み物を、それぞれの産地の人間として象徴的に表現しているのでしょう。 図1 コーヒー・茶・チョコレートそれぞれの産地を示す3人 この3つの飲み物には2つの共通点があります。1つは、いずれもカフェインという精神作用物質を含有していること、そしてもう1つは、砂糖との相性が非常によく、それゆえにヨーロッパで人気を博することができた、ということです。 近代以降のヨーロッパ社会は、ヨーロッパ以外の地域から伝来した、これらのカフェイン含有飲料を抜きに語
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く