かつて議員は「選良」と呼ばれた。辞書によれば「すぐれた人を選び出すこと。また、その選ばれた人」の意味である。議員の質の劣化が指摘され、その言葉は死語になったと言われて久しいが、重大な疑惑を問われても説明責任を果たさない安倍派議員の姿を目の当たりにしては、やはり死語だと思わざるを得ない。 朝日新聞が報じた自民党最大派閥の安倍派による組織的な裏金作りの疑惑について、同派幹部で事務総長経験もある松野博一官房長官は会見で疑惑を問われても「政府の立場としてお答えを差し控える」と繰り返した。そのほかの幹部も、記者団の取材を避け続けた。食い下がって質問を重ねる記者を、ある幹部はこう言って、にらんだ。「迷惑だ。こんなことをされたら信頼関係がなくなる」。疑惑に向きあわない姿勢こそが国民との信頼関係を失わせているという自覚がないのだ。 過去をひもとけば「政治とカネ」の問題は枚挙にいとまがない。ロッキード事件、