(2008年12月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 我々は今、皆ケインジアンである。バラク・オバマは大統領に就任するなり、巨額の財政出動を提案する。景気刺激策は、ほかの多くの国でも打ち出されている。ドイツでさえ、必死に抵抗しながら、この競争に引きずり込まれている。 マクロ経済学の父ジョン・メイナード・ケインズの亡霊が蘇り、我々に取りついている。最も興味深いケインズの弟子ハイマン・ミンスキーの亡霊も一緒に復活した。今では誰もが「ミンスキーの瞬間」――金融市場の熱狂がパニックに変わる瞬間――のことを知っている。 あらゆる予言者と同じように、ケインズも彼の信奉者に曖昧な教訓を与えた。第2次大戦後、数十年間にわたって彼の弟子たちが提唱した財政の微調整(fine tuning)をいまだに信じている人はまずいない。だが、ケインズの高名な知的ライバル、ミルトン・フリードマンが提案したマネー