金融危機が起こるのは、人々が理不尽に行動するからだ。株や土地といった資産を、こぞって買えば値上がりし、それで儲かったと思って更に買うと、バブルが膨らむ。お金と言うか、信用と言うか、貨幣が膨張の限界に達したときに弾け、敗者を生んで、値は元へ戻る。人々が合理的に行動することを前提とする経済学は、これをどう位置づけるのか。スティーブ・キーン著『次なる金融危機』を読みつつ、考えてみたい。 ……… ガラスのテーブルの上に、パチンコ玉で山を作ろうとしても、平たく広がるだけである。この場合、経済上の合理性とは重力だ。利益を追求する合理性が十分に作用していれば、理不尽に積み上がることはないわけである。ところが、金平糖のようにゴツゴツしている粒だと山ができあがる。粒子間に摩擦という分子間力が働くからだ。その山は、際限なく高くなったりはせず、積み上がっては崩れるという動きを繰り返す。 バブル崩壊とは、かなり高
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