研究に向かう原動力とは? 山内 淳(長崎大学水産学部) 生物科学, 50:244-245 (1998) 皆さんにとって,研究に向かう原動力とは何だろう. たまたまそこに職があったからやっているだけという場合もあるかもしれないし,「教授になる」とか「賞を取る」とかいった上昇志向を原動力として研究に向かっている人もいるかもしれない.しかし,科学に携わっている人間は,程度の差こそあれ,「何でこんなことになるんか?」という現象に対する素朴な疑問と「本当のことを知りたい」という好奇心がその根底に流れているはずである. ところが研究活動に何年も携わり,そろそろ自分の守備範囲が判ってくると,研究というのはそういった純朴な思いを容易には満たしてくれるものではないことが見えてくる.正直いってそれは怖いことでもある.しかし私は,そのことときちんと向き合えた人こそがよき研究者になれると信じている.それを避けて通