『博士と彼女のセオリー』を観てきた。 ALSにかかりながらも理論物理学の研究を続けているスティーヴン・ホーキング博士と最初の妻ジェーン・ワイルドの愛を描いた伝記モノ…というと、『ビューティフル・マインド』みたいな、優秀な学者だが病気である夫に妻が献身的に尽くすアレを思い出してしまうし、途中まではちょっとそっちの路線に行きかけるのだが、途中から急にやたら現実的になり、『ビューティフル・マインド』よりずっと面白くなる(介護における女性の負担の描写とかはむしろ『母の眠り』なんかに近いかも)。この手の映画にしては「妻の献身」の描き方が全くステレオタイプにはまっておらず、基本的にホーキングの業績を描くよりは、介護負担やジェンダーバイアスを基軸に大人の男女の関係の変遷を描いた作品になっている。 とりあえずこの映画は、介護や家庭生活を主題とした映画としてはジェンダー間の差異、つまり女性は男性の世話をする