2010年05月16日に明治大学で開催されたシンポジウム「高学歴ワーキングプアの解消を目指して」に飛び入りで参加してきた。得るものの多いシンポだった。以下に、益川敏英先生(ノーベル物理学賞 2008年受賞)のご講演を中心とした報告を行う。 まず、先生は、「いまの高学歴ワーキングプア問題は、実は新しい問題ではない」と切り出された。いつの時代にもあったことが、現代という時代のなかでいままた深く採り上げられるようになった、と。 思えば、昭和三年あたりの世界大恐慌のさなかは、「大学は出たけれど」という言葉がはやった時代だったし、1970年あるいは1980年代頃の新聞を眺めても既に博士の就職問題に関する記事がぼちぼち見つかる。確かに、高学歴者が就職できない時代というのは、過去からずっと浮かんでは消えを繰り返してきた。だが、それらと現在との間には、ひとつだけ見逃してはいけない大きな違いがある。過去に発