年商約130億ドル、従業員数約2万人のその企業は、いわゆる本社機構(ヘッドクォーター)を持たない。中核商品の事業計画は米国、研究開発は米国・中国・日本、設計は日本、製造とテストは中国、マーケティングはインドの拠点がそれぞれ担当し、製品の販売と保守は全世界の拠点が手がける。中国で事業を始めた会長は現在米国に、米国企業出身のCEO(最高経営責任者)はシンガポールに住む。 グローバルカンパニーを標榜する企業は少なくないが、ビジネスの諸機能をここまで世界各地に分散させた企業となると珍しい。これは、ノートパソコンThinkPadで知られる大手パソコンメーカー、レノボ(Lenovo)の2008年における姿である。先頃来日したレノボのウィリアム・アメリオCEO兼社長によると、「“ワールドソーシング”と呼ぶ新しいビジネスモデルを採用した結果」という。 アメリオCEOは「ワールドソーシングによって、順調に経