1年間の浪人期間を経て、僕は、1984年4月に大学生になった。ここまで書いてきたように、浪人時代にも浴びるようにアニメを観ていた。バイトもしていたし、あろう事か同人誌作りの真似事までしていた。よくもまあ、合格できたものだと思うが、とにかく都内のあまり有名でない私立の大学に入った。文学部哲学科という、就職にも、実生活にも役に立ちそうもない学科だった。今回はサークルの悪口みたいな事を書くので、学校名は伏せておく。 話は前後するが、当時、早稲田大学に早稲田アニメーション同好会というサークルがあった。そのサークルの初期メンバーには望月智充がおり、当時は原口正宏がいた。彼ら以外にも、大勢の猛者が集っており、驚くくらい充実した研究同人誌を作っていた。後の言葉で言えば「濃い」サークルだった。そこが作った出崎統研究本は、現在に至るまでの全ての関連書籍の中で、もっとも出崎統についての詳しい資料だろうと思う。