認知症の疑いで受診した患者の中に、発達障害の一つである注意欠陥多動性障害(ADHD)の患者が含まれていることを熊本大の佐々木博之特任助教、竹林実教授らの研究グループが国際的な精神医学誌に発表した。 先天的な疾患と考えられている発達障害が、加齢によって顕在化する可能性があることを示す成果だ。発達障害と認知症では、治療薬やその後の経過が大きく異なるため、診断の意義が大きいと指摘している。 研究は、2015~17年にほかの医療機関からの紹介で熊本大病院の認知症専門外来を受診した高齢患者446人が対象。まず認知症専門の医師が診察し、認知症ではないとみられる場合は、発達障害を専門とする医師があらためてカルテを精査し、実際に診察して評価した。 その結果、認知症の疑いで紹介されたこれらの患者のうち7人が実際は認知症ではなく、ADHDであることが分かった。さらに、これらの患者にADHDの治療薬を処方したと