実家の押し入れは、とんだタイムカプセルです。 先日、母が「面白いものを見つけた」と見せてくれました。押し入れから、30年前、伯父(私の母の兄)夫妻の結婚式で配られた冊子が出て来たのです。その冒頭を飾っていたのが、私が小学生のときに亡くなった祖父の文章。それが、ちょっと味のある良い感じの文章だったので、孫長(まごちょう)権限で、ここにそっと転載させてもらいます。 新郎の父として、祖父が寄せた祝辞(?)のタイトルは「親父のぼやき」でした。 「親父のぼやき」 「結婚式には小冊子を作り皆さんに渡したいので、お父さんかお母さん、何でもいいから一頁書いてよ」と、K夫。すかさず「お母さんはいやですよ、それは、お父さんが考えて……」 機先を制せられて何か書かざるを得ない羽目になってしまった。冗談じゃない。文筆を業としているわけでない、そう簡単には、と多少の抵抗をしてみたが「期限は三日」と締切の追い打ちまで