インサイター insight : the ability to understand and realize what people or situations are really like
野崎 歓 (東大文学部准教授・翻訳家) 鴻巣 友季子 (翻訳家・エッセイスト) 青木千恵 (ライター・本紙編集委員) 「〈座談会〉翻訳家が語る 古典『新訳ブーム』」より =有鄰 ��481 2007.12.10= 少女時代の文学体験から自然に翻訳家に …略… 青木 鴻巣さんは、文学が好きでこの世界に入られたということでしょうか。 鴻巣 そうですね。 野崎 少女時代に、翻訳書をむちゃくちゃ読んでいた。文学少女だったんだ。何でも読むという感じですか。 鴻巣 そう。へんてこな訳なども多いんですけども、へんてこさ加減がぐっとくるみたいな部分があってね。小学校のときから、翻訳書一本やりだったんです。スタンダールの『赤と黒』なんか読んでました。 野崎 それは興味深いな。鴻巣さんはさんざん文学を体験していて、それがあったから、自然な形で翻訳者になったということですね。 鴻巣
週刊少年ジャンプ連載の海賊ファンタジー『ONE PIECE(ワンピース)』が、連載10周年を迎えた。既刊46巻で累計1億4000万部、日本一人気のある少年マンガとして、アニメでも絶大な人気を誇る。作者の尾田栄一郎さん(32)に、10年間の“航海”について聞いた。 (石田汗太) 鎌倉・由比ヶ浜の砂浜に、主人公のルフィたち一味の海賊船「サウザンドサニー号」が出現した。連載10周年記念のイベントで、8月19日までの間、グッズや軽食を売る「海の家」として営業する。21日のオープニングには約600人のファンが詰めかけたが、ほとんどが若い女性。作品の熱心なファンが少年だけでないことを見せつけた。 「最近は少年マンガを読む女性が多いので、そういう読者にある部分支えられていることは知っています」と尾田さん。「でも、僕はあくまで『ど真ん中の少年』に向けて描いている。それで責任は果たせるだろうと思っています」
「自分しか書けないものを本当に書きたいと思って書いたのは、この作品が初めて」。国立大学工学部助教授の傍ら96年、第1回メフィスト賞を受けデビュー、以来〈理系ミステリー〉の旗手と目されてきた作家は、そう明かした。壮大なSF叙事詩『スカイ・クロラ』シリーズ5部作の完結巻。押井守監督による来年の映画公開も決定している。 舞台は二つの大戦後、数十年を経て、今もどこかと交戦中の日本。市街戦は行われず、「戦争法人」が請け負う戦闘行為の結果のみが報道される社会だ。主人公クサナギ・スイトをはじめ、薬害によって偶然生まれた少数の大人にならない子どもたち=キルドレの多くが、志願して戦闘機パイロットになっている。 「生物はなぜ死ぬのか。生命が複雑化する過程で、環境に適応できる強い者が生き残っていくため、世代交代、すなわち死ぬという能力が遺伝子上にプログラムされたからです」 いつまでも若く、殺されなければ死なない
来年も作りたい!ふきのとう料理を満喫した 2024年春の記録 春は自炊が楽しい季節 1年の中で最も自炊が楽しい季節は春だと思う。スーパーの棚にやわらかな色合いの野菜が並ぶと自然とこころが弾む。 中でもときめくのは山菜だ。早いと2月下旬ごろから並び始めるそれは、タラの芽、ふきのとうと続き、桜の頃にはうるい、ウド、こ…
空洞化する町。働いても遊んでも満たされない若者たち。吉田修一さんの長編小説『悪人』(朝日新聞社)は、九州北部で起きたある殺人事件を題材に、地方都市で暮らす人々の今を浮かび上がらせる。社会派タッチの新境地を切り開いた著者に聞いた。(待田晋哉) 執筆前に、物語の舞台となる福岡や佐賀、長崎をドライブして回った。佐賀の中心街は人通りが少なく、郊外の街道沿いのショッピングセンターやパチンコ店の駐車場は車であふれていた。山々を貫く単調な高速道路から、不意に見えた博多の街並みは印象に残ったという。 「子供の時住んだ長崎から福岡までは、車で一日がかりだった。高速道路を使って今は2〜3時間で着く。本当に生活が変わった」 町を走るうち登場人物の姿が立ち現れ、声が聞こえてきた。改造車のスカイラインで道路を猛スピードで駆け抜ける長崎在住の土木作業員・祐一。短大卒業後、福岡で一人暮らしを始めた保険外交員・佳乃――。
武田 伊坂さんて多作ですよね。 伊坂 どうだろう、そうですかね。 武田 始めは、結構追っかけてたつもりだったけど…。 伊坂 あ、少し前に立て続けに新作が出た時がありました。今もいろいろ書いてはいるんですけど、一生懸命書いて、たくさん出しても、そんなに幸せにならないんですよ(笑)。いろいろ言われてしまうし。実際、僕は(レオス・)カラックスとか、めったに作らない人が好きなんですよ。 武田 カラックスはやばいですよぉ。 伊坂 あ、今度短編撮るの知ってます? 東京を舞台にしたやつで、『グエムル』のホン・ジュノともう1人で、オムニバスをやるという噂を聞いたんですけど。本当だったら凄いですよね。 武田 そうですね。彼『ポンヌフの恋人』から『ポーラX』までも相当空いてて、あれから撮っていなかったんじゃなかった? 伊坂 僕はそういう寡作なところが好きなんですよね。でも(スティーブン・)スピル
第65回:森見 登美彦さん (モリミ・トミヒコ) 生真面目な言葉遣いでアホなことを繰り出し爆笑を誘う。そんなデビュー作『太陽の塔』で一気に人気炸裂、現在も天然黒髪乙女と善良妄想青年の恋と奇天烈な騒動を描く『夜は短し歩けよ乙女』が話題の森見さん。幼少期のお気に入りの絵本はもちろん、あれです! そしてロボットや宇宙に憧れた森見少年が、諧謔味ある文体に辿り着くきっかけは、実は大学時代のむにゃむにゃ時代にあったようで…。 (プロフィール) 1979年、奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院農学研究科修士課程終了。2003年『太陽の塔』(新潮文庫)で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。独特の文体と奇想に満ちた作風を身上とする。他の著書に『四畳半神話大系』(太田出版)、『きつねのはなし』(新潮社)がある。 ――1番古い、読書の記憶というと? 森見 : 1番昔は絵本ですね。母が買っ
第64回:阿部 和重さん (アベ・カズシゲ) 構想において手法において、つねに小説という手段で冒険を続ける阿部和重さん。新しい試みを続ける彼も、実は、過去の本からさまざまな影響を受けているといいます。はじめて自分で買い、今でも大きな存在となっている本とは? 小説の“発見”となった一冊とは? そして、いつかはこんな小説を書いてみたい…と思っている、名作のタイトルとは。意外なタイトルが次々飛び出すインタビューとなりました。 (プロフィール) 1968年9月23日、山形県東根市神町生まれ。94年『アメリカの夜』で群像新人文学賞、99年『無情の世界』で野間文藝新人賞、2004年『シンセミア』で伊藤整文学賞及び毎日出版文化賞(文学・芸術部門)、05年『グランドフィナーレ』で芥川賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ABC戦争―plus 2 stories』『ニッポニアニッポン』『映画覚書 Vol.1』『
タイトルでやられた。本が好きなら、これはちょっと手に取らずにはいられない。 ハードカバーの本の扉を開けると、実際に図書館に掲げられている「図書館の自由に関する宣言」が目に入る。時代は平成ならぬ「正化」。このパラレルワールドで語られるのは、すべてのメディアの検閲を合法化する「メディア良化法」が施行され、法務省傘下の「メディア良化委員会」による出版物の没収が横行する時代。狩られる本を守るのは「図書館の自由に関する宣言」をベースとし、「図書館の自由法」を掲げる図書館だった…。 女子高生の時、買った本を店頭での検閲から救ってくれた「図書隊員」の背中を追って、同じ職に就いた笠原郁を主人公に、怒濤の市街戦とラブコメを繰り広げる「図書特殊部隊(library task force)」の活躍を描くエンターテインメント。この本はフィクションもののハードカバーでは異例の11万部を突破し、続編『図書館内乱』(8
ソフィア・コッポラ監督、「マリー・アントワネット」を語る 2006年12月18日 フランス革命にほんろうされた王妃を描いた「マリー・アントワネット」が全米で公開中だ。独特の映像感覚で知られる若手ソフィア・コッポラ監督の最新作で、日本でも来年1月に公開される。今回の作品については、新世代の斬新な映像美という評価がある一方で、「歴史や文化に無理解」という反発も強い。監督に聞いた。 映画は、14歳のアントワネットが故郷のオーストリアから、フランス王室に嫁入りする場面から始まる。豪華なベルサイユ宮殿でのがんじがらめの生活。「王妃といっても思春期の少女。なのに政略結婚させられ、夫からも孤立していた。そんな彼女が戸惑いながらも成長していく姿を描きたかった」と語る。 監督の美意識と体験が色濃くにじむ。宮殿の大広間で、王妃が寂しさを紛らわせるため繰り広げる、ため息が出るような贅沢三昧(ぜいたくざんまい)の
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く