映画『野火』より © Shinya Tsukamoto/海獣シアター 大岡昇平の同名戦争文学を塚本晋也が監督・主演で映画化した『野火』が7月25日(土)より公開される。第二次世界大戦末期のフィリピンを舞台に、結核のため部隊を追い出されひとり彷徨う兵士・田村を塚本監督が自ら演じ、彼の視点から戦地の極限状態におかれた人間の本能を描いている。彼をとりまく日本軍兵士を、リリー・フランキー、中村達也、山本浩司、そして新人の森優作が演じている。今回は塚本監督が今作に込めた思いを語ったインタビューを掲載する。 これは密室劇ではないか ──大岡昇平さんの原作を映画化しようと思った理由を教えて下さい。 大岡昇平さんの『野火』は日本の戦争文学の傑作のひとつで、高校生の時に初めて読んで衝撃を受けまして、まるで、自分が戦争に行っているような気持ちになりました。語り手の主観で描いているんですけど、普通の人が実際に戦