■「映画村」のなかで蕩尽される11億円 日本映画は大変不幸である。なぜなら日本の多様な声を世界に届ける「国際映画祭」が日本にないからだ。今年も10月22日から10日間にわたって「東京国際映画祭」が開催されるが、その任務は映画芸術の祝福にはない。予算の半分以上が税金で賄われる公益性の高いイベントでありながら、映画会社と広告代理店という「既得権益」を強化するばかりで、日本の映画産業や映画文化を育む機能を果たせていない。 東京国際映画祭の事業費の内訳をみれば、この映画祭が誰のために行われているのかがよくわかる。主催する公益財団法人ユニジャパンの決算報告書(2014年度)によれば、東京国際映画祭の事業費は約10億9656万円である。このうち66.6%を占める7億3052万円は「委託費」となっている(※1)。 注目すべきはその非常に偏った委託先だ。2010年から14年の5年間では、KADOKA
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