Criticism series by Murakami Yuichi;Philosophy of "bishojo" game 第一章 恋愛というシステム【1】 様々なメディアミックスによってコンテンツが生まれている昨今、改めて注目されている作品たちがある。美少女ゲーム。識者によってすでに臨界点さえ指摘された、かつて可能性に満ちていた旧態のメディア作品。だがそうした認識は変わらないままなのか。傍流による結実がなければ光は当たらないのか。そもそも我々は美少女ゲームをどれほど理解しているのか――。巨大な風景の歴史と可能性をいま一度検証する、村上裕一氏の批評シリーズ連載。 †美少女ゲームという「風景」 美少女ゲームについて、もう一度考えてみようと思う。 「もう一度」。こういう問いは、一定の蓄積=歴史を持つあらゆるジャンルにおいて、しばしば繰り返されるものである。実際、つい最近――と言っても僕に