父親として、上司として、そして時にはヤクザの親分として。近年の日本の映画やドラマの秀作において、三浦友和は「作品の重し」としてのその世代(60代)の役者において最もエッジの効いた存在感を放ってきた役者と言っていいだろう。現在公開中、赤堀雅秋監督の『葛城事件』は、そんな2010年代の“新しい三浦友和”像を決定づける傑作だ。本作で三浦が演じているのは、原作の舞台(THE SHAMPOO HAT)では作・演出の赤堀監督自身が演じていた主人公。精神を病んでいく妻、会社からリストラされる長男、そして無差別殺傷事件を起こして死刑囚となる次男、そんな目を背けたくなるほど悲惨な状況に陥っていく家族の中で、ただ一人正気を保ち続けているように見えて、実はすべての元凶とも言える狂気を体現した“一家の主”を演じている。 70年代生まれの自分は、三浦友和が日本を代表する“青春スター”であった時代をギリギリ記憶してい
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