ブックマーク / realsound.jp (161)

  • 宮台真司の『万引き家族』評:「法の奴隷」「言葉の自動機械」となった人間達が社会を滅ぼすことへの激しい怒り

    布団が艶めかしかった昭和と共に失われたもの 布団の話から始めます。昭和には和風ラブホテル──「旅荘」──がありました。門をくぐると仲居(従業員)の女性が出迎えて、部屋へと案内してくれます。部屋番号ならぬ「楓」「椿」などと部屋名が付された扉が開けられると、卓袱台と畳だけが見えます。しばらくお待ち下さい、と中居が一旦引き下がります。 茶と茶菓子を盆に載せた再び中居がやって来ると、「ごゆっくり」と一言残して立ち去ります。何かを仄めかしているように感じてゾクっとした二人は、対面しつつ茶菓子を口に運んでしばし雑談します。それでもお互いにこれから起こる事が分かっているから、どこかしらじらしくてギコチないのでした。 そして、会話がふと途切れた時が「その時」です。相手の手に触れて見つめ合い、手を取り合って立ち上がります。襖(ふすま)を開けると、そこはいきなり非日常の時空。艶めかしい色の行灯に照らされて大き

    宮台真司の『万引き家族』評:「法の奴隷」「言葉の自動機械」となった人間達が社会を滅ぼすことへの激しい怒り
  • アニメ『ハイスコアガール』に込められた、超高濃度のゲーム愛ーー制作統括・松倉友二インタビュー

    日7月13日より、テレビアニメ『ハイスコアガール』(TOKYO MXほか)が放送開始する。押切蓮介の人気コミックを原作に、90年代のゲームセンター、格闘ゲームを軸に描かれる異色のラブコメディだ。リアルサウンドでは、同アニメで制作統括を務める、アニメプロデューサーの松倉友二氏を直撃。作に込められた、あふれんばかりのゲーム愛とこだわりが明かされた。アニメ『ハイスコアガール』の視聴が二度美味しくなる、独占インタビューをお届けする。 【インタビューの最後に、豪華声優陣のサイン入りポスタープレゼント企画あり】 “ゲーム警察”も納得のこだわり ――映像を観せていただき、アニメーションとゲーム画面がうまく融合していて、かつてのゲームセンターの雰囲気もリアルに再現されているのが印象的でした。原作の独特な世界観も含め、アニメーション化する上でどんな点にフォーカスしましたか? 松倉友二(以下、松倉):「

    アニメ『ハイスコアガール』に込められた、超高濃度のゲーム愛ーー制作統括・松倉友二インタビュー
  • 安藤サクラ×松岡茉優『万引き家族』対談 初参加となった是枝組の現場で感じたこと

    是枝裕和監督最新作『万引き家族』が6月8日より公開となった。家族ぐるみで万引きなどを重ねながら生計を立て、東京の下町で質素に暮らす家族の“家族を超えた絆”を描いた作は、現地時間5月19日に授賞式が開催された第71回カンヌ国際映画祭で、日映画としては今村昌平監督の『うなぎ』以来21年ぶりとなる、最高賞のパルムドールを受賞した。 今回リアルサウンド映画部では、万引きを重ねる父・治(リリー・フランキー)の・信代を演じた安藤サクラと、信代の妹・亜紀を演じた松岡茉優にインタビューを行った。ともに是枝組初参加となった2人に、是枝監督の現場で感じたことや、お互いの印象などについて話を聞いた。【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】 安藤「是枝組の独特の空気感は、産後の私にはとても優しかった」 ーー安藤さんも松岡さんも今回が是枝組初参加となりましたが、最初に役の話を聞いたときの

    安藤サクラ×松岡茉優『万引き家族』対談 初参加となった是枝組の現場で感じたこと
  • ECDは思想家としてのラッパーだった 荏開津広による追悼文 - Real Sound|リアルサウンド

    ECD(名:石田義則)、ラッパー/プロデューサー/小説家/エッセイストーー彼がいなかったら日のヒップホップ/ラップはまったく違った形になっていただろうーーが、1年余の癌との闘病の末、2018年1月24日の夜に永眠した。 代表的な一曲は、社会を見つめ続けるラッパー・K DUB SHINEをフィーチャーし、2017年に加藤ミリヤがECD人をフィーチャーしてカバーした「ECDのロンリーガール」(1997年)である。 彼は1960年、東京は中野に生まれ、吉祥寺に育った。学校には音楽の話が合う友だちがいなくて、高校生ぐらいの頃から外に出るようになった。例えば、17歳の時にディスコに出かけた、と後年語っている。 翌年、結成されたばかりの劇団「名無し人」(後の劇団「キラキラ社」)に、ECDは俳優として参加した。この劇団を作ったのは、当時、日のロックジャーナリズムの新しい波だった雑誌『ロッキング・

    ECDは思想家としてのラッパーだった 荏開津広による追悼文 - Real Sound|リアルサウンド
  • 映画館にとってエンタテイメントとはなにか? 立川シネマシティ、効率化と真逆を行く戦略

    東京は立川にある独立系シネコン、【極上爆音上映】等で知られる"シネマシティ"の企画担当遠山がシネコンの仕事を紹介したり、映画館の未来を提案するこのコラム、連載開始2周年を迎える第24回は、それを記念して質的な話をさせていただけたらと思います。"エンタテイメントとはなにか?"というテーマで。 実はこの連載、小さくしか書かれていないのでほとんど気づかれていないと思いますが「娯楽(エンタメ)の設計」というタイトルでやってます。これは我が敬愛するエルンスト・ルビッチ監督作『生活の設計』をもじったものです。 これまで映画館としてどうやってお客様にエンタテイメントをもたらしていくかということを、具体例を挙げて書き連ねてきましたが、区切りが良いのと、年の初めということで、そもそも僕がエンタテイメントをどういうものと考えているかを書こうと思います。 エンタテイメントという言葉は、日では、例えば華やかな

    映画館にとってエンタテイメントとはなにか? 立川シネマシティ、効率化と真逆を行く戦略
  • DEV LARGEの人生は日本のヒップホップ史と重なるーーNIPPS × 川口潤 × 寺西崇洋が語り合う

    『The Documentary DEV LARGE/D.L』SPECIAL EDITION上映に寄せて 2017.02.22 15:00 2015年5月に急逝したヒップホップアーティスト・DEV LARGEの半生を追ったドキュメンタリー『The Documentary DEV LARGE/D.L』のスペシャル・エディションが、3月6日(月)にShibuya WWWで開催されるイベント『TOKYO MUSIC ODYSSEY 2017 MOVIE CURATION 〜特上音響上映会~』にて上映される。同作は、スペースシャワーTVでオンエアされたドキュメンタリー番組2編をダイジェスト編集したもので、上映後にはDEV LARGEと所縁のあるCQ(BUDDHA BRAND)、GOCCI(LUNCH TIME SPEAX)、GO(FLICK)、ダースレイダーによるトークショーも行われる。(チケット

    DEV LARGEの人生は日本のヒップホップ史と重なるーーNIPPS × 川口潤 × 寺西崇洋が語り合う
  • ミト×神前暁が考える、それぞれの音楽的特徴と<物語>シリーズ楽曲の面白さ

    クラムボン・ミトと、音楽に携わる様々な“玄人”とのディープな対話を届ける対談連載『アジテーター・トークス』。今回は新春特別編として、彼と親交の深い音楽作家・神前暁と対談が実現した。 2人が音楽作家として参加する<物語>シリーズの楽曲が、音楽ファン・アニメファンからここまで高い評価を得るのはなぜなのか、をメインテーマに据えながら、ミトと神前の交遊録や、音楽家としての共通点、神前によるミトの分析、神前が刺激を受けた若手音楽作家の話など、トピック盛り沢山のトークとなった。(編集部) <クラムボン・ミトの『アジテーター・トークス』バックナンバー> 第一弾【クラムボン・ミト×大森靖子が考える、ポップミュージックの届け方「面白い人の球に当たりたい」】 第二弾【クラムボン・ミト×『アイマス』サウンドP内田哲也が語る、アイドルアニメ・ゲームに“豊潤な音楽”が生まれる背景】 第三弾【花澤香菜は声優&アーティ

    ミト×神前暁が考える、それぞれの音楽的特徴と<物語>シリーズ楽曲の面白さ
  • 『ベイビー・ドライバー』E・ライト監督インタビュー 「『ラ・ラ・ランド』と比較されるのはすごく不思議」

    『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』のエドガー・ライト監督最新作『ベイビー・ドライバー』が8月19日より公開されている。作では、子供の頃の交通事故が原因で“耳鳴り”に悩まされ続けている、天才的なドライビング・センスを持つ組織の運転手ベイビーが、恋人デボラのため、自ら決めた“最後の仕事”に挑む模様が描かれていく。リアルサウンド映画部では、メガホンを取ったエドガー・ライト監督にインタビューを行い、象徴的に使われるiPodや出演しているミュージシャンなど音楽的な話を中心に話を訊いた。 「10年前にこの作品を作る自信が僕にあったとは思えない」 ーー早速映画とは関係ない話になってしまいますが、週末(※取材日は8月1日)はフジロックでCorneliusやLCD Soundsystemのライブを楽しんでいる様子を自身のTwitterにアップしていましたね。 エド

    『ベイビー・ドライバー』E・ライト監督インタビュー 「『ラ・ラ・ランド』と比較されるのはすごく不思議」
  • 小野寺系の『メアリと魔女の花』評:“ジブリの精神”は本当に受け継がれたのか?

    近年、新作を作る度の風物詩となっていた、宮崎駿監督の「長編引退宣言」。『風立ちぬ』完成時にも、人が「またかと思われるかもしれませんが、今回はマジです」と言いながら、その後また撤回されたわけだが、スタジオジブリの製作部門は、復帰宣言の前に当に解体されてしまった。 『魔女の宅急便』で動員数200万人を突破してから、安定的に大ヒット作品を連発、「ジブリブランド」を確立し、国内の劇場アニメのシェアを握ることになっていった、スタジオジブリと宮崎駿。スタジオ解体という状況のなかで、日の多くのアニメーションスタジオは、その王国に成り代わることを望み、アニメーション監督は、「ポスト宮崎」という玉座をねらう事態が起きている。 そこで注目されていたのが、スタジオポノックである。『思い出のマーニー』でコンビを組んだ西村義明プロデューサーと米林宏昌監督、従業員の8割がジブリの作品づくりに関わってきた人たちが

    小野寺系の『メアリと魔女の花』評:“ジブリの精神”は本当に受け継がれたのか?
  • 荻野洋一の『LOGAN/ローガン』評:スーパーヒーローが死滅した近未来のディストピア

    ミュージカル映画のヒット作『レ・ミゼラブル』(2012)における主人公ジャン・バルジャン役の熱演を見た時、ヒュー・ジャックマンのローガン=ウルヴァリン役はもはやそれほど長くはないだろうということが、火を見るよりも明らかだったように思う。このオーストラリア出身のタフガイはもともと、『X-MEN』(2000)のローガン=ウルヴァリン役を得ることでスターダムに登りつめた。しかし、来年には50歳を迎えようとしている彼のウルヴァリン卒業は遠くないことであった。 ローガン=ウルヴァリン以外のX-MENキャラクターたちは、すでにおおむね世代交代を果たしている。「チャールズ・エグゼビア=プロフェッサーX」はパトリック・スチュワートからジェームズ・マカヴォイに交代し、「マグニートー」はイアン・マッケランからマイケル・ファスベンダーに、「ミスティーク」はレベッカ・ローミンからジェニファー・ローレンスに、「スト

    荻野洋一の『LOGAN/ローガン』評:スーパーヒーローが死滅した近未来のディストピア
  • 荏開津広『東京/ブロンクス/HIPHOP』第3回:YMOとアフリカ・バンバータの共振

    SFは、どういわれようと、つねにどこかへのチケットである。モーリス・ルナールを敷衍するならば、このジャンルは人びとを未知の世界へと送りこむのだーージャック・ボドゥ Al Greenの”Take Me To The River”をカヴァーした理由は、僕たちはブラック・ミュージックを発想の源泉にしていたのに、当時僕たちを好いてくれた層ときたらブラック・ミュージックを馬鹿にしていたからだ。もし有名な曲をカヴァーしたら自分たちのヴァージョンは比較されて興ざめで、意味なかっただろう。でも、誰もAl Greenの“Take Me To The River”を知らなかった。みんな僕たちが実際のあの曲を書いたと信じていて、好きになった。あとになって僕たちは『あは、君らはブラック・ミュージックを好きになったね』と言えたんだーーChris Frantz、Talking Heads/Tom Tom Club 1

    荏開津広『東京/ブロンクス/HIPHOP』第3回:YMOとアフリカ・バンバータの共振
  • 岩里祐穂 × ヒャダインが明かす、名曲の作詞術「重要なのは“いかに言わずして言うか”ということ」

    作詞家・岩里祐穂によるトークライブ『Ms.リリシスト~トークセッション vol.3』が2017年4月16日に開催された。このイベントは岩里の作家生活35周年記念アルバム『Ms.リリシスト』リリースを機に、あらゆる作詞家をゲストに招き、それぞれの手がけてきた作品にまつわるトークを展開するもの。リアルサウンドでは、そのトークライブの模様を対談形式で掲載している。今回ゲストとして登場したのは、ももいろクローバーZやでんぱ組.incなどのアイドルを中心とした幅広いアーティストの作詞のみならず、作曲、編曲も手がけるヒャダインこと前山田健一。両者が手がけてきた楽曲の制作秘話を紐解くと、物語の描き方や言葉の使い方など、それぞれの特徴が浮かび上がってきた。(編集部) ももいろクローバーZ「ワニとシャンプー」 岩里:私がヒャダインさんのことを初めて知ったのが、ももいろクローバーZのシングル『猛烈宇宙交響曲・

    岩里祐穂 × ヒャダインが明かす、名曲の作詞術「重要なのは“いかに言わずして言うか”ということ」
  • 『ゴースト・イン・ザ・シェル』なぜ賛否両論に? 押井守版『攻殻機動隊』と比較考察

    劇場用アニメーション『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』は、アニメーターによる従来の職人的な手描き技術と新しいCG技術の融合によって生み出された、クールな映像表現、また士郎正宗原作、押井守監督による先進的なテーマや哲学性などによって、アメリカをはじめ世界に日製アニメの存在を知らしめた代表といえる作品である。『マトリックス』のウォシャウスキー姉妹監督など、決定的な影響を受けたことを表明するクリエイターも少なくない。その伝説的作品をハリウッド映画として実写映像化したのが、作『ゴースト・イン・ザ・シェル』である。ここでは、押井監督版のアニメーション映画を、分かりやすく『攻殻機動隊』、アメリカの実写映画を『ゴースト・イン・ザ・シェル』と表記し、主にテーマの面で両者を比較しながら、賛否渦巻く実写版の内容を検証していきたい。 『攻殻機動隊』は、人体よりも高性能な「義体」を、人間

    『ゴースト・イン・ザ・シェル』なぜ賛否両論に? 押井守版『攻殻機動隊』と比較考察
  • 宮台真司×中森明夫が語る、映画と社会の現代的難点 『正義から享楽へ』対談(前編)

    社会学者・宮台真司の映画批評『正義から享楽へー映画は近代の幻を暴くー』の刊行を記念し、著者・宮台と作家/アイドル評論家・中森明夫のトークショーが、2月20日にLOFT9 Shibuyaにて開催された。リアルサウンド映画部では、2人がの内容から話題の社会問題までを語り尽くした当日のトークイベントの模様を、両人の確認・加筆の上、前後編の2回にわたって掲載する。 中森:『正義から享楽へ』は映画であることに加えて、今を読み解く時代論としても出色だと思いました。1年だけでこの文量、しかも最新の映画だけでなく過去作も参照しつつ書き上げてしまうすごさを感じましたね。僕なんか2年に1冊くらいだから(笑)。最初に聞きたかったのが、『ダ・ヴィンチ』での映画連載をまとめた『<世界>はそもそもデタラメである』が、何年前でしたか? 宮台:十年前の2008年です。01年から連載を始め、終えたのが08年。8年間

    宮台真司×中森明夫が語る、映画と社会の現代的難点 『正義から享楽へ』対談(前編)
  • 菊地成孔の『ラ・ラ・ランド』評:世界中を敵に回す覚悟で平然と言うが、こんなもん全然大したことないね

    *以下のテキストは、 マスメディアがアカデミー賞レースの報道を一斉に始める前の、2月20日に入稿、更に4日前に書かれたもので、つまり所謂 「あとだしジャンケン」ではない旨、冒頭に強調しておく。 今時これほど手放しで褒められてる映画があるだろうか? 当連載は、英語圏の作品を扱わないので今回は<特別編>となる。筆者は映画評論家として3流だと思うが、作は、複数のメディアから批評の依頼があった。大人気である。「全く褒められませんよ」「こんな映画にヒーヒー言ってるバカにいやがられるだけの原稿しか書けませんけど」と固辞しても、どうしても書けという。 そりゃあそうだ。筆者は一度だけヤフーニュースのトップページに名前が出たことがある。ジャズの名門インパルス!レーベルと、米国人以外で初めて契約したから? 違う。女優の菊地凛子を歌手デビューさせたから? 違う。正解は「『セッション』を自分のブログで酷評したか

    菊地成孔の『ラ・ラ・ランド』評:世界中を敵に回す覚悟で平然と言うが、こんなもん全然大したことないね
  • 「Suchmos以降」の視点で見る、2017年のキープレイヤーたち

    1月25日に発売されたSuchmosの新作『THE KIDS』が素晴らしい。作品自体のクオリティの高さはもちろん、2017年の日音楽シーンの未来を照らし出すという意味でも、間違いなく傑作だ。 改めて、ここに至る背景を振り返ろう。2010年代の日では、海外におけるファンクやソウルの再評価、国内における渋谷系やシティポップの再評価などを背景に、ブラックミュージックの要素を含んだポップスを志向するアーティストが急増。2015年に発表された星野源の『YELLOW DANCER』と、ceroの『Obscure Ride』という二作品は、その到達点と言うべき作品だった。 そして、その延長線上で、去年からその動きが顕在化したのが「ブラックミュージックからポップスへの接近」。音大でジャズを学んだメンバーを含むSuchmosは、アシッドジャズやネオソウルをメンバー共通のバックグラウンドとしながら、Oa

    「Suchmos以降」の視点で見る、2017年のキープレイヤーたち
  • 90年代ヒップホップ集中連載2:元祖B-BOY・CRAZY-Aが語る“4大要素”の発展と分化

    ジャパニーズヒップホップが興隆し、日語ラップやクラブカルチャーが大きく発展した90年代にスポットを当て、シーンに関わった重要人物たちの証言をもとに、その熱狂を読み解く書籍『私たちが熱狂した90年代ジャパニーズヒップホップ(仮)』が、12月上旬に辰巳出版より発売される。宇多丸、YOU THE ROCK★、Kダブシャイン、DJ MASTERKEY、CRAZY-A、KAZZROCK、川辺ヒロシといったアーティストのほか、雑誌『FRONT』の編集者やクラブ『Harlem』の関係者などにも取材を行い、様々な角度から当時のシーンを検証する一冊だ。 書の編集・制作を担当したリアルサウンドでは、発売に先駆けてインタビューの一部を抜粋し、全4回の集中連載として掲載する。第2回は、80年代より原宿の“ホコ天”でブレイクダンサーとしてキャリアをスタートさせ、日で初めてのB-BOYとも称されるCRAZY-A

    90年代ヒップホップ集中連載2:元祖B-BOY・CRAZY-Aが語る“4大要素”の発展と分化
  • 山田尚子監督は“映画作家”の名にふさわしい存在だ 映画『聲の形』の演出法を分析

    映画作家とはどんな人物を指すだろうか。ヌーヴェル・ヴァーグを生んだことで知られるカイエ・デュ・シネマの批評家たちは、アルフレッド・ヒッチコックやハワード・ホークスを真の映画作家と見なした。この2人は職人肌の娯楽映画の監督であるが、どんな作品でも監督の個性や匂いのようなものが刻印されている。 声高に主張を掲げずとも、刻印される何かを持ちうる映画監督を映画作家と呼ぶのなら、山田尚子監督はそう呼ばれるにふさわしい存在だと『聲の形』で証明した。過去の作品とはまるで異なる雰囲気の作品でありながら、あらゆるシーンに山田尚子の刻印がある。 ほんわかとした平和な世界の可愛い女の子の物語である『けいおん!』や『たまこラブストーリー』で人気を博した山田監督が、いじめとディスコミュニケーションを中心に息苦しい世界を描くと聞いた時は驚いた。『聲の形』で山田監督は、今まで自身が描いてきた世界とは180度真逆の世界と

    山田尚子監督は“映画作家”の名にふさわしい存在だ 映画『聲の形』の演出法を分析
  • ピコ太郎「PPAP」なぜ世界的に流行? 古坂大魔王のプロデュース力を探る

    ピコ太郎の「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」のYouTube動画再生回数が約4000万回(10月12日現在)を突破。10月7日より世界134カ国にて配信限定リリースされ各配信サイトにてデイリーランキング1位を獲得し、話題をさらっている。 ピコ太郎は古坂大魔王がプロデュースする、古坂と瓜二つな千葉県出身のシンガーソングライター。ジャスティン・ビーバーが自身のTwitterにて「お気に入りの動画」と紹介したことをきっかけに、世界的流行にまで発展。アメリカのニュース雑誌『TIME』やニュース専門放送局『CNN』、イギリスの公共放送局『BBC』までもが「PPAP」を報じ、「動画の中毒性」や「(現在のブームが)理解の範疇を超えている」などと伝えている。 「PPAP」は、なぜこれほどまでに世界的に受け入れられたのか。2015年3月に自身のブログに『「ラッスンゴレライ」はどこが面白かったのか』

    ピコ太郎「PPAP」なぜ世界的に流行? 古坂大魔王のプロデュース力を探る
  • 90年代ヒップホップ集中連載1:元CISCOバイヤーが語る、宇田川町が“レコードの聖地”だった頃 

    ジャパニーズヒップホップが興隆し、日語ラップやクラブカルチャーが大きく発展した90年代にスポットを当て、シーンに関わった重要人物たちの証言をもとに、その熱狂を読み解く書籍『私たちが熱狂した90年代ジャパニーズヒップホップ(仮)』が、12月上旬に辰巳出版より発売される。YOU THE ROCK★、Kダブシャイン、DJ MASTERKEY、CRAZY-A、KAZZROCKといったアーティストのほか、雑誌『FRONT』の編集者やクラブ『Harlem』の関係者などにも取材を行い、様々な角度から当時のシーンを検証する一冊だ。 書の編集・制作を担当したリアルサウンドでは、発売に先駆けてインタビューの一部を抜粋し、全4回の集中連載として掲載する。第1回は、渋谷・宇田川町が“レコードの聖地”と呼ばれていた時代に、日語ラップをいち早く盛り上げたレコードショップ「CISCO」にてバイヤーをしていたDJ

    90年代ヒップホップ集中連載1:元CISCOバイヤーが語る、宇田川町が“レコードの聖地”だった頃