もっとも薬物依存と呼ばれるものの中で、覚せい剤、大麻、コカイン、ヘロインなどに代表される違法薬物は、田代まさしのようなケースはあるにしても比較的使用者が離脱しやすいとの指摘も少なくない。こうした違法薬物は使用そのものだけではなく、製造、所持、輸出入、譲渡、譲受のすべてが違法であるため、この一連の流通ルートがつねに取り締まりで脆弱化される恐れが高いからだ。 ここで厚生労働省の厚生労働科学研究費補助金による「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査(研究分担者:松本俊彦・国立精神神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長)」という研究報告書を例示する。これは全国の入院機能を持つ精神科の医療施設を対象に薬物を乱用して急性中毒や依存、精神障害などの治療を受けた患者の実態をまとめたものである。 1987年から隔年で行われてきた同調査の最新版である2018年版は246施設から2