『きのう何食べた?』の女性人気 昨年、テレビ東京系でドラマ化された『きのう何食べた?』の原作は、青年マンガ誌『週刊モーニング』(講談社)で、2007年から現在まで続く人気連載である。主に男性読者を対象とした雑誌での連載だが、女性のファンも多い。この作品の何が、女性たちを引きつけるのだろうか? 原作者は、BL(ボーイズ・ラブ)を描く作品をいくつも発表してきたよしながふみ。本作も、ゲイを主人公に据えている。まず、大まかなストーリーを整理してみよう。 主人公の筧史朗は、弁護士。同居する恋人、矢吹賢二は、美容師だ。最初、43歳と41歳だった2人は、巻を追うごとに順調に年を重ね、50代に入って食が細くなる。どこにでもいそうな中年夫婦2人暮らしの日常を、男性同士のカップルとして描く。作品に所帯くささが漂うのは、話の中心にあるのが日々の食事だからだろう。史朗と賢二の食卓が最もひんぱんに描かれるが、周りの