「まるで公開処刑のようだった」と経済記者の間で話題なのが、2月14日の三井住友トラスト・ホールディングス(HD)の社長交代の記者会見だ。不祥事などによる社長交代でもないにもかかわらず、三井住友HDと中核銀行である三井住友信託銀行の新旧社長4人の顔色は冴えない。なかでも、「信託の天皇」とも呼ばれた三井信託銀の常陰均社長の目はうつろだった。 すべては昨年の金融庁検査に始まる。検査終了後に検査通知とは別に、異例ともいえる当局の「所感」を同社に突きつけた。同社関係者はささやく。 「常陰さんは三井信託銀の前身の住友信託銀行から通算すると社長在任が今春で9年目。『旧住信のドン』といわれた高橋温氏ですら社長在任期間が7年強だった。『所感』ではトップに君臨する期間があまりにも長く、その弊害が生じているとガバナンスに問題を投げかける内容だった」 金融業界内では「事実上の辞任を迫る通告」ともいわれ、常陰氏自身