約60億キロ・メートルの宇宙の旅から帰還した小惑星探査機「はやぶさ」は、燃え尽きる際に満月の約2倍の明るさで輝いたことが、国立天文台などの観測でわかった。22日の夜は中秋の名月。満身創痍(そうい)でオーストラリアにたどり着いたはやぶさの最期の輝きに、遠い日本から思いをはせてはいかがだろうか。 国立天文台などは今年の6月、はやぶさが大気圏に突入する様子をオーストラリア南部で観測した。その明るさは最大でマイナス13等ほどで、満月の約2倍、北極星の約100万倍もの明るさになっていたことがわかった。 はやぶさは大気圏に突入するとき、300個以上もの破片に分解した。個々の破片の表面がそれぞれ輝いたため、それを合わせた明るさが月を大きく超えた。 現地で観測した渡部潤一・国立天文台教授は「はやぶさの輝きは、いわば人工の流星。はやぶさは素材がわかっているので、その輝きの分析を本物の流星の研究に役立てたい」